美味しいものを食べると幸せな気分になったり、友達とカフェや居酒屋で食事をしている時は楽しい気分になったり、食事が私たちに与えてくれるものは沢山あります。
けどそれだけが私たち人間が食事をする理由ではありません。
私たちが食事をする根本的な理由は、エネルギーと栄養を摂取するためです。
そのエネルギーと栄養を摂取するために、最も基本となるのが「三大栄養素・五大栄養素」と言われています。
最近は、ダイエットのために炭水化物や脂質を摂取しないという人も増えているので、炭水化物や脂質を摂取しないと身体にどのような影響を与えるかに興味を持っている人も多いのではないでしょうか?
この記事では、三大栄養素・五大栄養素の種類や働きについて見ていきたいと思います。
三大栄養素・五大栄養素の種類と働き

私たちが摂取する食べ物には、さまざまな成分が含まれていますが、その中で生命を維持し活動を続けるために必要なものを栄養といいます。
また人間の身体を構成している筋肉や臓器、骨などの組織も栄養から形成されています。
栄養を大きく分類すると、「炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル」に分類され、それらを総称して五大栄養素と呼びます。
三大栄養素とは、ビタミンとミネラルを除いた「炭水化物・脂質・たんぱく質」のことをいいます。
これらの栄養素の大きな働きは、
1.筋肉、臓器、骨、歯、血液などの身体自体をつくる
2.身体や頭を働かすエネルギーになる
3.体調を万全な状態に整える
このような働きがあります。順に解説していきます。
炭水化物
炭水化物は、体内に吸収されてエネルギー源になる「糖質」と、体内に吸収されない「食物繊維」に分けられます。
腸内環境を整えたり、何かと話題になっている食物繊維も実は炭水化物の一種です。
糖質にはブドウ糖、果糖麦芽糖などがあり、身体を動かすために不可欠な栄養です。
食物繊維には大豆やナッツ類などのほか、こんにゃくに含まれるグルコマンナンや寒天に含まれるアガロースなどがあります。
炭水化物は体内では血液中にブドウ糖として存在していて、血液中のブドウ糖濃度のことを血糖値といいます。
血糖値が高くなると、体内のインスリンが働いて血糖値を下げてくれるのですが、インスリン不足や身体の機能が低下していると血糖値を上手く下げることができなくなり、それが糖尿病となります。
炭水化物の一日の摂取量の目安は、男女ともに一日に摂取するエネルギーの50%~65%が目安とされています。
一日の摂取エネルギーが2000kcalの場合は、大体1000kcal~1300kcalが目安ということになります。
炭水化物は1gあたり4kcalなので、250g~325gくらいが食べる目安です。
一般的なお茶碗だと1杯あたり150gくらいなので、お茶碗2杯くらいですね♪
脂質
脂質には、お肉の脂やバター・マーガリンなど個体の「脂」と、オリーブオイルやごま油など液体の「油」があります。
脂質は炭水化物よりエネルギーになり、1gあたり9kcalで五大栄養素の中で最も高いエネルギー源になります。
脂質には体内で生成することができない必須アミノ酸が含まれていて、身体の細胞膜やホルモンを構成したり、皮下脂肪として内臓の保護や身体を寒冷から守る働きをしています。
また脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を促す働きもあります。
脂質には動物性脂肪と植物性脂肪がありますが、動物性脂肪には飽和脂肪酸が多いので、血液中の中性脂肪やコレステロールを増加させてしまいます。
摂りすぎないように注意が必要です。
脂質の一日の摂取量の目安は、男女ともに一日に摂取するエネルギーの20%~30%です。
一日の摂取エネルギーが2000kcalの場合は、400kcal~600kcalが目安になります。
たんぱく質
たんぱく質は三大栄養素の一つだけあり、生きていくうえでとても重要な栄養です。
血液や筋肉など身体をつくる主要な栄養で、全体の1/5を占めています。
生命の維持に欠かせない酵素やホルモン、免疫物質と様々な働きをしています。
たんぱく質は、約20種類のアミノ酸から構成されています。
たんぱく質の中には、体内で生成できない必須アミノ酸も含まれているため、食べ物から摂取する必要があります。
たんぱく質は肉類、魚介類、卵、大豆、乳製品などに多く含まれています。
一日の摂取量の目安は、成人男性で60g、成人女性で50gとされています。
ビタミン
ビタミンはエネルギー源や身体をつくる働きはしていませんが、人間の身体を健康に保つために必要な栄養です。
体内ではほとんど生成できないため、食べ物から摂取する必要があります。
ビタミンは、別の栄養素がきちんと働けるよう潤滑剤の役割を担っています。
水に溶ける水溶性ビタミンと、油に溶ける脂溶性ビタミンがあります。
【水溶性ビタミン】
ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、ビタミンCなど。
【脂溶性ビタミン】
ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなど。
水溶性ビタミンは体内の血液に溶け込んでいて、余分なものは尿から排出されるため体内で溜まりにくいですが、脂溶性ビタミンは脂肪や肝臓に蓄積され、体外に排出されにくいため摂りすぎによる弊害が出る場合があります。
脂溶性ビタミンの取りすぎには注意が必要です。
ミネラル
ミネラルの代表格にカルシウム、カリウム、リン、マグネシウムなどがあります。
これらミネラルもビタミン同様、身体の機能や健康を保つためには欠かせない栄養です。
ミネラルも体内で生成されないため食べ物から摂取する必要がありますが、ビタミンと違うのは身体の構成部分にもなるという点です。
ミネラルは、互いに吸収や働きに影響をあたえ合うため、バランスよく摂る必要があります。
不足した場合は欠乏症やさまざまな不調が起こることがありますが、摂りすぎた場合にも過剰症や中毒を起こす場合があり、摂取量には注意が必要です。
栄養バランスが偏るとどうなるの?

炭水化物が不足すると…。
炭水化物は身体のエネルギー源。不足することで身体に起こる変化はいくつか考えられます。
【便秘になる可能性が上がる】
炭水化物には多くの食物繊維が含まれています。
食物繊維には便を促す効能があるため、炭水化物が不足し食物繊維の摂取量が減ることで便秘になる場合があります。
【疲労感を感じやすくなる】
炭水化物は身体を動かすためのガソリンみたいなもの。
炭水化物が不足することで、燃料切れを起こしやすくなるため疲労を感じやすくなることが考えられます。
【甘いものが食べたくなる】
炭水化物にはブドウ糖などの糖質が含まれていて、炭水化物が不足することで体内の糖分が不足します。
糖分には中毒性があると言われているので、糖質が不足することでもっと甘いものが欲しくなる可能性があります。
脂質が不足すると…。
人間の脳は約6割が脂質でできていると言われています。
その脂質が不足することで身体に起こる変化はいくつか考えられます。
【集中力がなくなる】
脳は約6割が脂質でできているということから、脂質が不足することで脳への情報伝達がうまくいかなくなると考えられています。
脳の働きが低下し、集中力の欠如や記憶力低下につながる可能性があります。
【冷え症になりやすい】
脂質には、皮下脂肪として体温調節をする役割があります。
脂質が不足すると皮下脂肪が減少し、体温調節が上手くできずに冷え症になりやすくなります。
【ホルモンバランスが乱れる】
脂質はビタミンDやビタミンEなどの吸収を促進したり、ホルモンや生理機能を調節する体内物質をつくるためにも欠かせない栄養素です。
脂質が不足することでホルモンや生理機能を調節が上手くできず、ホルモンバランスが乱れるリスクがあります。
たんぱく質が不足すると…。
日本人はほとんどの人がたんぱく質不足だと言われています。
たんぱく質が不足することで身体に起こる変化はいくつか考えられます。
【筋肉がつきにくくなる】
たんぱく質は筋肉をつくる材料となるため、たんぱく質が不足すると筋肉がつきにくくなります。
臓器も筋肉でできているため、身体全体の筋肉量がなくなることで基礎代謝が悪くなり痩せにくい身体になったり、便秘になったりの弊害が起こりやすくなります。
【肌乾燥や髪のパサつき】
肌に潤いを与えるコラーゲンもたんぱく質から構成されているので、コラーゲンが不足することで肌が乾燥しやすくなります。
また髪の毛を構成しているのもケラチンというたんぱく質なので、ケラチンが不足することで髪の潤いがなくなり、パサつきやすくなる可能性があります。
【集中力や思考力の低下】
やる気を出してくれるドーパミン、気持ちをリラックスさせるセロトニンなどの神経伝達物質は、アミノ酸(たんぱく質を作る最小成分)からできています。
たんぱく質が不足すると、神経伝達物質が脳内で上手く作られず脳の働きが鈍くなることが考えられます。
ビタミンが不足すると…。
ビタミンが不足すると、ビタミン欠乏症という病気になる場合があります。
ビタミン欠乏症は発育期や授乳などで、ビタミンの消費が多いのに、食事からの摂取量が足りないときに起こりやすいといわれています。
【ビタミンA欠乏症】
ビタミンAは、身体の発育、皮膚や粘膜などの保護、そのほか視覚作用において重要なはたらきをしています。
ビタミンAが足りなくなることで、発育の遅れ、皮膚のカサツキなどが起こるほか、暗くなるとものが見えなくなる夜盲などになる場合があります。
【ビタミンB欠乏症】
ビタミンBには、B1、B2、B6など様々な種類があり、どの要素が不足するかで症状は違います。
ビタミンBが不足することで、身体のだるさ、手足のしびれ、下肢のむくみや貧血を起こす場合があります。
【ビタミンC欠乏症】
ビタミンCには血管の壁を強くしたり、血液の凝固を促進する作用があります。
このビタミンCが不足すると皮膚に点状の出血を起こしたり、鼻血や歯ぐきの出血を起こす場合があります。
ミネラルが不足すると…。
日本人はミネラル不足に陥りやすく、最近は特にミネラル不足の人が増えているそうです。
ミネラルが不足することで身体に起こる変化はいくつか考えられます。
【抜け毛や肌荒れ】
ミネラルはビタミンと違い身体の構成をつくる働きをしていて、髪や肌の健康維持もしています。
そのミネラルが不足することで、髪の毛が抜けやすくなったり肌荒れを起こしやすくなります。
【貧血になりやすくなる】
ミネラルの一種である鉄分が不足すると、鉄欠乏性貧血になりやすくなります。
月経のある女性は経血で鉄分を多く失う傾向にあるので、鉄分が不足しないよう注意が必要です。
【歯や爪がもろくなる】
元気な身体や骨をつくるのに欠かせないカルシウムもミネラルの一種です。
カルシウムが不足すると、歯がもろくなって抜けたり虫歯になりやすくなったり、爪が割れやすくなります。
まとめ
以上、三大栄養素・五大栄養素の種類や特徴について書いてきました。
毎日忙しい日々を過ごしていると、「今日は外食でいいや!」とか「コンビニ弁当で済ませちゃお♪」とか思うこともあると思います。
たまにならいいですが、それが毎日続いてしまうと栄養バランスが乱れて体調を壊したり、髪や肌あれが起こることも考えられます。
あと、ダイエットのために過度な食事制限も体調を損ねる可能性があります。
どんな栄養素も取りすぎもダメだし、足りなくてもダメということで、日々の食事バランスには気を付けたいですね♪
最近太ってきたから、ダイエットのために炭水化物や脂質を食べるのやめようかな…。
炭水化物と脂質って三大栄養素だけど、取らないと身体に悪いのかしら?
そもそも三大栄養素、五大栄養素ってなに?